2013年5月17日金曜日

京甘味②

目にも美しい上生菓子・・・銘は「薫風(くんぷう)」だそうです。お店の方がその銘をおっしゃった時、一瞬とても爽やかな風が吹いたような気がしました。

京都で上生菓子をいただくまで、上生菓子は芸術品で、味は二の次、見て楽しむ物だけだと思っていました。甘い物が苦手な私は、正直「甘いだけ」というイメージに、上生菓子を敬遠していたのです。

しかしある時、京都人でもめったに口にできず、その時期にしか作られないという、貴重な上生菓子を食べる幸運に巡り合いました。職人の手で1つずつ手作りされたそれは、目に美しく、食べて美味しい、心を癒すものでした。

今回の旅では、新緑をイメージした爽やかなグリーンが美しい、きんとんの上生菓子と出会いました。中には貴重な白小豆で作られた、甘さ控えめの餡。そぼろ状のきんとんは、口に入れた瞬間にスーッと溶けてゆきます。

持ち運びもままならない、このそぼろをまとった繊細なものが、私は特に好きです。甘さもしつこくなく、後に残りません。毎回、旅で出会える「一期一会」に魅せられる、京都菓子文化の奥深さに今回も感動しました。

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